2020.12.9

多嚢胞性卵巣症候群とは?排卵異常が不妊に繋がる可能性も

多嚢胞性卵巣症候群、なにやら仰々しい症状の名前ですが実は決して珍しいわけではなく、我々にとって身近な疾患なのです。

多嚢胞性卵巣症候群になれば排卵が正常にされないため、不妊の原因にもなり得ると考えられています。

本記事では、多嚢胞性卵巣症候群の症状と原因、治療方法について解説していきます。また、これから妊活を予定されている方は、不妊についての知識を得るためにも、ぜひご覧ください。

多嚢胞性卵巣症候群の基礎知識

まずは多嚢胞性卵巣症候群が、どのような特徴を持つのか押さえていきましょう。

<多嚢胞性卵巣症候群の症状>
・無月経
・月経不順
・多毛
・不正出血 など

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)は、10代~成年期の女性に見られる排卵障害の一種で、卵巣内で卵胞が上手く育たず排卵のタイミングがずれてしまいます。

排卵のリズムが変わると、当然生理も影響を受けるので月経不順に繋がります。

卵子として排卵されなかった卵胞が卵巣にとどまり続けるので、検査で多くの卵胞が確認できることからこの名前が付きました。

2-30人に1人程度の割合で多嚢胞性卵巣症候群を発症すると考えられています。

多嚢胞性卵巣症候群になったからといってすぐに健康を害したり、不妊に繋がるわけではありませんが、異変を感じればなるべく早く病院で診察を受けましょう。

日本産科婦人科学会では、

  • 月経異常
  • 多嚢胞性卵巣
  • 血中男性ホルモン高値またはLH基礎値高値かつFSH基礎値正常

という3つの条件に当てはまり、かつ他の病気じゃないと認められることが多嚢胞性卵巣症候群の診断基準となっています。

多嚢胞性卵巣症候群と不妊の関係について

多嚢胞性卵巣症候群の女性は排卵しにくくなってしまうため、月経回数が少なくなったりして妊娠の機会が減り、不妊になる可能性が高くなってしまいます。

また、不妊治療をしている中で、多嚢胞性卵巣症候群に悩まれている女性は少なくありません。

しかし、多嚢胞性卵巣症候群だからと言って妊娠できないというわけではありませんので、多嚢胞性卵巣症候群と診断されても落ち込まず医師に従って、不妊に向き合いましょう。

なにが原因で起こるのか?

多嚢胞性卵巣症候群の原因は明確には分かっていませんが、今のところ排卵に関係するホルモンのバランスが崩れることが、要因だと考えられています。

通常の場合、黄体ホルモンと卵胞刺激ホルモンの2種類が影響して排卵されます。

しかし、バランスが崩れ黄体ホルモンの分泌が過多になると排卵のサイクルが崩れてしまいます。

さらに多嚢胞性卵巣症候群の人は、そうでない人に比べて血中のインスリン濃度が高いことが分かっています。

インスリン濃度が高いと何が問題なのかというと、高濃度の状態が続くと普通の量ではインスリンが糖をコントロールできません。

通常の濃度で血中の糖コントロールができない状態を「インスリン対抗性」というのですが、このインスリン対抗性があると黄体ホルモンが持つ男性ホルモンの生産を促す動きが活発になってしまいます。

男性ホルモンが増えてしまうと卵胞が正常に育たなくなって、排卵障害に繋がると考えられているのです。

月経不順や排卵障害の他にも、男性ホルモンの作用でニキビができやすくなったり体毛の量が増えたりすることもあります。

妊娠を希望する人の治療について

多嚢胞性卵巣症候群を発症された方が妊娠を希望する場合は、以下のような治療方法を行います。

排卵誘発剤を飲む

クロミフェンという排卵誘発剤を服用したり、ゴナドトロピンという注射を打って排卵を促します。

一度に多量の排卵が行われると、卵巣過剰刺激症候群が起こってお腹や胸部に水が溜まることもあります。

インスリン抵抗性がある場合

血液検査でインスリン抵抗性がある場合は、糖尿病治療薬のメルビン等を服用することで男性ホルモンの増加が抑えられて、排卵が改善される可能性があります。

毎日の生活でできるケアは?

体重の値が肥満にあてはまる人は、まず毎日の食事内容や運動習慣を見直してみましょう。

肥満が解消されると、排卵障害が改善されることも少なからずありますので、予防だけでなくすでに発症している人も減量は大切です。

また、生活習慣の見直しは妊活をされる方にとって大切なことですので、不妊悩みの有無に関わらず健康は意識しましょう。

まとめ:多嚢胞性卵巣症候群とは?排卵異常が不妊に繋がる可能性も

いかがでしたか?今回は多嚢胞性卵巣症候群をテーマに、基礎知識から不妊との関係などについて解説してきました。

多嚢胞性卵巣症候群は、ホルモンバランスや血中のインスリン濃度が原因だと考えられる症状です。

無月経、月経不順を放っておくと他の病気に発展する可能性もありますので、記事中で紹介した症状にあてはまる方は医師に相談してみてください。

よしこ先生
よしこ先生

安心してください!多嚢胞性卵巣と診断されてもそれを克服し、かわいい赤ちゃんを抱いている方は沢山いらっしゃいます!!対症療法的な排卵誘発剤やホルモン治療はホルモン治療はどうしても副作用もありますので、食べるものや生活習慣の改善で妊娠している方も続出中です!!

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