2020.9.24

2020.9.24

不妊治療にリスクは存在するの?

日本は「不妊治療大国」と呼ばれるほど不妊治療が積極的に行われる国でありながら、他国に比べて行政や司法が不妊治療の対応ができていないと言われています。

その結果、不妊治療で生まれた子供を追跡した大規模な疫学調査などが実施されることもなく、正確な公的データが把握されていないのです。

治療を受ける前に、不妊治療のリスクについて説明をしないクリニックも少なくないのが現状であり、そのリスクや問題点について理解が不足していると言えるでしょう。

今回は、不妊治療のリスクをテーマに進めてきます。

不妊治療はいつから始めるべきなの?タイミングについてご紹介

そもそも日本産科婦人科学会では「生殖年齢の男女が妊娠を希望し、ある一定期間、避妊することなく通常の性交を継続的に行っているにもかかわらず、妊娠の成立をみない場合を不妊という。その一定期間については1年というのが一般的である。なお、妊娠のために医学的介入が必要な場合は期間を問わない」とされています。

それを踏まえた上で、妊娠を希望する夫婦はいつ頃不妊治療を始めるべきなのでしょうか?

女性の年齢が30代後半の場合は早めの受診を

妊娠にはタイムリミットがあるものなので、年齢が高くなるのであれば1年という目安期間を待たずに受診をするのが良いでしょう。

また排卵障害・月経不順・無月経・子宮内膜症の方は年齢や期間に関係なく初めから不妊治療を開始することを勧められています。

不妊治療のリスクについて

不妊治療には、治療の前に説明されない可能性のあるリスクがいくつも存在しています。不妊治療を考えているのであれば、そのリスクを理解しておく必要がありますね。

人為的ミスが発生する可能性がある

通常の妊娠と違い、体外受精などの方法を利用しての不妊治療には多くの人がその過程に関わることとなりますが、関わる人が増えるほどミスが発生しやすくなるのは、どのような仕事でも変わりません。

実際に、精子の取り違えによるトラブルでの民事裁判も起きているのです。

現在では精子と卵子の入った試験管にバーコードを付け、食い違いのないようにするなど、さまざまな対応を用意しているクリニックもあるようです。ですので、それをクリニック選びの参考にしても良いでしょう。

精子の選定基準が曖昧

顕微授精では使用する精子の選定が顕微鏡で行われます。その際の判断基準は「元気よく泳いでいる精子」と、安易な考えで選択されることがあるそうです。

しかし、顕微鏡で見るだけでは認知できない重要な問題を持っている精子が選ばれてしまう可能性もあるのです。欠損のある精子には妊娠能力がない・生まれてくる子供に影響を与えてしまう問題があります。

不妊治療薬によって乳癌のリスクもある?

乳癌は、米国女性が診断される癌の中で皮膚癌を除いて最も多い癌であると言われており、乳癌になるリスクは不妊治療を行った女性の方が、他の女性に比べて増加するという研究が発表されました。

その研究内容は不妊治療薬を使用することにより、多くの排卵を刺激するようにエストロゲンのレベルが上昇するため、乳癌のリスクにつながるというものです。

しかし、後に実施された研究ではその結果が否定されており、不妊治療薬と乳癌の発生率に関係性はなく、注意喚起は必要ないとされています。

さまざまな研究結果がだされていますが、その中から情報を吟味する必要があると言えますね。

まとめ:不妊治療にリスクは存在するの?

不妊治療を始める前に理解しておくべき不妊治療のリスクと、問題点について説明いたしました。

年々増加している不妊治療の実施件数ですが、リスクの説明があまりされていないことは、問題であると言えるでしょう。不妊治療を始めるかどうかは、夫婦でしっかりと話し合いをする必要がありますね。

あなたにおすすめの記事

よく読まれている記事

この記事を見た人はこんな記事も見ています