2020.12.9

子宮内膜症の症状について〜ダグラス窩癒着病変・卵巣チョコレート嚢胞〜

子宮内膜症は、出来る場所などによって種類が異なり、自覚症状や気を付けるべき点、治療方法などにも違いがあります。

本記事では子宮内膜症をテーマに、種類によって異なる症状や発症箇所などを解説していきます。ダグラス窩癒着病変や卵巣チョコレート嚢胞のことについてもお伝えしますので、これらを知りたい方もぜひご覧ください。

子宮内膜症とは

子宮内膜とは子宮内にある粘膜のことで、妊娠が成立しなかった場合は一定の周期で剥がれ落ちて、月経となって体の外に排出されます。

子宮内膜症はこの子宮内膜組織が子宮以外の、骨盤内や卵巣、ときに肺や尿管に発生して増殖する疾患です。子宮内膜症があると常に炎症が起こっている状態になるため、ひどくなると疾患のある場所で癒着が起きます。

症状として代表的なのは月経に関することで激しい月経痛や、月経量が多い、長引くといったことがみられます。ほかにも、月経期間以外の腹部の痛みや、排便・排尿時の痛み、性交痛、腰痛などがみられ、不妊の原因になることもあります。

子宮内膜症は月経のある20~40代の女性に発症し、月経を重ねるごとに症状が悪化して閉経後はゆるやかに病巣が小さくなっていきます。

近年は増加傾向にあり、はっきりとした原因は認められていませんが、女性ホルモン、エストロゲンが関係していることから、初潮年齢の低下や女性を取り巻く環境の変化で、結婚する年齢、出産を望む年齢が上がっていることとの関係が指摘されています。

子宮内膜症の特徴や症状!不妊との関係はあるの?

子宮内膜症の種類と発生する部位

子宮内膜症と一口にいっても、できる場所によってその種類や対応、症状などに違いがあります。

それぞれについて特徴をみていきましょう。

卵巣チョコレート嚢胞
卵巣内での子宮内膜症が進行し、血液がたまって嚢胞となった状態です。チョコレート嚢胞の存在によって卵子の状態が悪くなるなどがあるため、不妊の原因になります。そしてこれは癌化することもありますので、注意が必要です。卵巣の摘出や、嚢胞の中身だけを摘出するといった治療方法があります。
腹膜病変
お腹の中を覆っている腹膜とよばれる場所に内膜症が現れた状態で、小さな病変が複数散らばっており、子宮内膜症の中でも多いタイプです。レーザーなどを用いて病巣を切除します。
ダグラス窩癒着病変
子宮の後ろがわで最も深い部分であるダグラス窩で子宮内膜症が発生し癒着がおこったタイプです。排便時、性交時の痛みが強いといった症状があり、ホルモン療法などが効きにくいため手術での対応となることが多くあります。
多臓器子宮内膜症
骨盤内にある卵管、卵巣、子宮、直腸や子宮筋層内部、肺や尿管、へそなどで内膜症が進行することがあります。進行するとそれぞれの臓器の機能低下につながりますので、手術によって病変を取り除くといった対応がとられます。

子宮内膜症の治療と難症例

子宮内膜症の診断は内診と超音波検査、ときにMRIを用いて行います。

子宮内膜症と診断されたなら治療に進みますが、内膜症のタイプや個人の状況によって、薬物療法または手術療法が選ばれます。

薬物療法
痛み止めなどの対処療法がまずひとつですが、内膜症の進行を止めることはできません。ほかには薬物を使って、妊娠している状態や閉経している状態を作り出し内膜症の進行をとめるなどがあります。
手術療法
開腹手術に加えて最近では体に負担の少ない腹腔鏡手術も選択肢にあげられます。手術の中でもダグラス窩癒着病変は、場所の特徴から対応が難しいとされるため、豊富な経験と最新の高度医療が必要となることがあります。

まとめ:子宮内膜症の症状について~ダグラス窩癒着病変・卵巣チョコレート嚢胞~

いかがでしたか?今回は、子宮内膜症をテーマに症状や種類などについて解説しました。

子宮内膜症は珍しい疾患ではありませんが、年月とともに進行するものであり、不妊症の原因にもなります。また、まれに癌化の可能性がありますので軽視すべきではないでしょう。

最近は腹腔鏡を使うなど体に負担の無い手術方法も選ぶことができ、難症例にも対応しています。

ダグラス窩癒着病変など聞きなれないものが多数あったと思いますが、これといった予防はありませんので、定期的に検診を受けるなどで関心を持っておくことが大切といえそうです。

よしこ先生
よしこ先生

子宮内膜症は不妊に直結してしまいます涙 まずはすぐに病院にかかり治療することが重要です!!治療が終わったら、身体の冷えや毎日の食事に目を向け、もう二度と再発させない身体作りを行っていきましょう!!

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