体外受精とは卵子と精子を取り出して人の手を使って受精させ、母体に戻す方法です。一般不妊治療よりも高度な治療であり、費用面を含めて負担の大きな治療であると言えるでしょう。
しかしその一方で、効果が得られやすい治療としても知られています。
この記事では、体外受精をテーマに基礎知識が身につくように解説していきます。
体外受精の歴史について
体外受精は最近の医療のように感じられますが、実は18世紀ごろから動物を使って実験が行われ、19世紀には人の体での臨床応用が進められました。
初めて体外受精で子供が誕生したのは1978年で、その女性は大人になり健康な子供を出産しています。
その後も体外受精は世界的に広がっていき、日本でも一般的な治療として行われるようになりました。
日本産科婦人科学会の統計によれば、2015年の1年間に体外受精にて産まれた児童数は5万1001人もいるのです。
体外受精の基本的な流れ
病院の方針や女性の体調によって、体外受精の流れが変化することはありますが、ここでは一般的な流れを紹介します。
体外受精の流れその1:排卵誘発剤を使用する
より多くの卵子を採取するために、女性の月経周期に合わせて排卵誘発剤を使用します。
使用される排卵誘発剤は病院によって変わりますが、注射を使用することが多いようです。
体外受精の流れその2:卵胞刺激ホルモンの注射・卵胞の状態を確認
卵胞刺激ホルモンを注射し、卵巣を刺激します。
また、超音波で卵胞の大きさを確認し血中のホルモンを調べます。
体外受精の流れその3:採卵・採精する
卵子を成熟させ、排卵前に採卵し男性の精子も採取します。
採取された精子は洗浄・濃縮などの処理をして運動性の良いものだけを集めます。
体外受精の流れその4:受精させる
採取した卵子の入っているシャーレの中に精子を入れて受精させます。
体外受精の流れその5:受精卵を培養する
受精した受精卵を培養し、着床直前の状態まで成長させます。
体外受精の流れその6:胚移植と着床
カテーテルを使用して、受精卵を子宮の中に戻します。
受精卵が子宮内膜に潜り込み、着床すれば妊娠の成功です。
体外受精の流れその7:妊娠判定・胎嚢確認
胚移植から2週間後に妊娠判定を実施し、妊娠が確定した場合はその1週間後に超音波で胎嚢の確認をします。
体外受精を実施するには
不妊治療で体外受精を実施するのはどのような場合でしょうか?
体外受精を勧められるパターンを紹介します。
一般不妊治療からのステップアップ
一般不妊治療を実施して妊娠に至らなかった場合には、不妊治療をステップアップさせます。
一般不妊治療を実施する期間は女性の年齢により変わりますが、より妊娠率の高い若い年齢のうちに治療をステップアップさせた方が良いという考え方が、最近の主流のようです。
検査結果によっては初めから体外受精をする
治療開始前の検査結果で卵管性不妊・男性不妊症などが判明しており、体外受精でしか妊娠が難しいと分かっている場合には、一般不妊治療を行わず初めから体外受精が実施されます。
まとめ:体外受精についての基礎知識!体外受精の基本的な流れ!
体外受精についての基礎知識と治療の流れをお伝えしました。
体外受精には高額な費用がかかりますし、通院回数も増え女性の体の負担も重くなります。
そのため多くの不安を抱えてしまう方が多いようですが、治療についての知識を持つことで心配を少しでも減らせるでしょう。