ロング法は排卵誘発方法の1つで以前と比べたら登場機会は減ったものの、現在でも選ばれる方もいらっしゃいます。
中々耳なじみのない名前だと思いますが、この記事ではロング法の特徴やメリット・デメリット、ロング法を行う手順について解説したいと思います。
Contents
ロング法とはどんな排卵誘発方法なのか?
排卵誘発方法には、
- 低刺激
- 中刺激
- 高刺激
- 完全自然排卵周期法
に分かれます。
完全自然排卵周期法は誘発剤を用いずに、周期通りに排卵された卵子を採取します。
ロング法は高刺激に分類される誘発方法で、GnRHアゴニストの点鼻薬や排卵誘発剤を使います。
アンタゴニスト法(点鼻薬ではなく注射を使う)が登場してから使用される機会は減少しつつあります。
ロング法が向いている人は、
- 卵巣機能の状態が良い
- 前胞状卵胞が7個以上ある
- 採卵する日を前もって特定したい
にあてはまる方だとされています。
ロング法治療の手順について
ロング法で排卵誘発をする手順は以下の通りです。
1.調整
前の周期の生理の最中からピルを飲み始める
2.点鼻薬開始
ピルのラスト3日前絵から点鼻薬をスタート。(採卵決まるまで毎日4回)
3.注射
今の周期の生理が来たら3日目くらいから連日排卵誘発剤注射して卵胞を育成する(FSHまたはHMG)
4.採卵決定
卵胞を成熟させるためHCG注射をして2日後くらい(34~36時間後)に採卵する
5.黄体ホルモンの服用
胚移植を行い採卵から2週間後に妊娠の判定をする
ロング法にはどんなメリットがある?
ロング法を利用することのメリットとして、こういったものがあります。
- 採卵の日程がコントロールしやすい
- 卵子を多く採卵できる可能性がある
- 卵胞が個体によるばらつきがなく成長度合いが均一になる
- ホルモンを抑制した後で排卵を誘発することで採卵日の前に排卵しにくい(自然排卵の可能性が低い)
ロング法には、長期間ホルモン剤を投与することで採卵までのコントロールができるという特徴があることが分かりましたね。
事前に押さえたいデメリット
その反面、ロング法にこんなデメリットが存在します。
- 排卵誘発のための注射の回数と量が多い
- 採卵までに利用する薬が多いので、採卵したらしばらく卵巣を休ませなければならない
- 高刺激であるが故にその他の方法よりも卵巣過剰刺激症候群が発症する確率が高め
- 治療のための費用がかさむ
- 前の周期はピルを飲んで避妊しなければならない
- 来院回数が多い
ロング法の費用は大体10万円から20万円弱と、少しお高めです。
卵巣過剰刺激症候群は、排卵誘発剤の刺激が強いあまり卵巣が膨らみお腹や胸部に水が溜まる症状で、重症になると、腎不全や血栓症を引き起こすこともあります。
この卵巣過剰刺激症候群のリスクの高さと、治療前に妊娠していた場合はホルモンコントロールによりその妊娠の維持が難しくなってしまうという点が問題視されたため、より短期間でできるショート法が開発されました。
しかし、ロング法と共にショート法を選ぶ人が減っていき、近年ではアンタゴニスト法が用いられることが増えています。
アンタゴニスト法はピルの服用で調整し、多く採卵できるという点ではロング法と共通点がありますが、
- 点鼻薬を使わない
- 卵巣過剰刺激症候群のリスクを回避できる
など大きな違いもあります。
まとめ:不妊治療の一種で行われる「ロング法」についてご紹介
ロング法は昔から存在した排卵誘発方法で、採卵日をコントロールでき数も多く得られるというメリットがある方法だということが分かりました。
しかし、高刺激性であるために卵巣過剰刺激症候群発症の確率が高いという、見過ごしがたいデメリットもあります。
近年はロング法の代わりにアンタゴニスト法が広く選ばれるようになり、負担が気になる場合は刺激度の低い方法が用いられるようです。
「ロング法、ショート法どちらが良いと思いますか?」などという質問をよく受けますが、それはかかりつけの医師の得意な方に身を任せるしかありません!しかし、最近は「自然に良い卵子が取れたら一番良い!!」とロング法、ショート法でうまくいかない方が、質の高い専用の漢方薬で卵子の質を上げ妊娠している方続出中です!!一つの選択肢にしてくださいね!!