不妊治療には病名がつかなくては保険が適用外となる検査・治療も多く、基本的に治療費が高額になってしまう傾向があります。
長期的に取り組むものなので、その負担はさらに重く感じられるでしょう。そのため経済的な問題で治療の継続を諦めてしまう場合もあります。
この記事では不妊治療にかかった費用の確定申告や、助成金の対象となるのか、などを解説していきます。
不妊治療は医療費控除の対象に入っている?
不妊治療は医療行為ですので、確定申告をすれば医療費控除の対象となります。不妊治療以外の医療費と合計して医療費が年間10万円以上になるなら確定申告で医療費控除を申請しましょう。
ただし、申請には医療費の領収書が必要になりますので注意してください。
【医療費控除の還付金の計算式】
(支払った医療費ー保険金など)ー10万円×所得税率=還付金
医療費控除の対象となるもの・ならないもの
具体的に医療費控除にはどのような費用が含まれるのでしょうか?その内容を知れば、対象が思っているよりも広いと感じられるでしょう。
申請には医療費と同様に、どの費用にも領収書やレシートが必要です。
【医療費の対象になる費用】
・不妊治療の費用
・通常の医療費
・医師の紹介手数料
・病院で処方された薬や漢方薬の費用
・薬局などで購入した薬や漢方薬の費用
・マッサージ・お灸・整体の施術料
【医療費控除の対象にならない費用】
・自分の希望で遠隔地の病院を受診した新幹線代など
・入院・通院の際の自家用車のガソリン代・駐車代
・入院時の差額ベッド代
・寝巻きなど入院時の日用品の購入費用
・健康食品やサプリメントの購入費用
ちなみに医療費控除は過去5年まで遡って申請ができますので、医療費控除を知らなかったという人も諦めずに申請してくださいね。
助成金の申請の流れについて
少子化を食い止めるために、日本では特定不妊治療費助成制度が用意されています。自分が助成金の対象内ならば積極的に使用すると良いですね。
特定不妊治療費助成制度の対象者
・助成をはじめて受ける時に不妊治療の開始日初日に妻が43歳未満である
・助成をはじめて受ける時に不妊治療の開始日初日に妻が40歳未満なら通算6回まで
・助成をはじめて受ける時に不妊治療の開始日初日に妻が40歳以上なら通算3回まで
・夫婦の合算所得が730万円以下の場合
・体外受精・顕微授精の特定不妊治療(保険適用外)を指定医療機関で実施した場合
特定不妊治療費助成制度の助成内容
体外受精・顕微授精の1回につき15万円が国から助成されます。その他治療内容によって金額は変わりますので注意しましょう。
特定不妊治療助成金の申請は?
条件を満たしていれば、お住まいの市区町村に書類を提出するだけで特定不妊治療助成金の申請ができます。
必要書類は市区町村によって変わりますが、基本的には医療機関から発行される証明書か領収書・夫婦の所得を証明するもの・住民票・戸籍謄本が必要です。
妊娠後に掛かる医療費も控除される
不妊治療にかかった費用は医療費なので、医療費控除の対象であるとお伝えしましたが、妊娠から出産にかかった医療費ももちろん控除対象になります。
ただし出産時には出産育児一時金で出産費用の補填がありますので、その分は引いて申請する必要があります。
先ほど紹介した式
(支払った医療費ー保険金など)ー10万円×所得税率=還付金
を例としてみましょう。
ここでは、世帯年収700万円の家族で、不妊治療・妊娠・出産とその他の医療費を含めて142万円かかり、出産育児一時金が42万円戻った場合の計算式を紹介します。
(142万円ー42万円)ー10万円=90万円
年収700万円の場合は所得税率が23%なので90万円に23%をかけましょう。
90万円×23%=207,000円
還付金は207,000円になります。
まとめ:不妊治療は医療費控除の対象?確定申告や助成金まわりについて
不妊治療にかかった費用は、医療費控除の申請ができることが分かりましたね。不妊治療には高額な費用が必要なので、医療費控除や助成金制度をしっかりと使いこなすようにしましょう。